剱岳北方稜線 赤谷山~池平山~剱岳~早月尾根
2014-09-22
2014年9月20日(土)~22日(月) デイジーとしんちゃんずいぶん前に初めて剱岳に別山尾根から登った時、ザイルやピッケルを持ったパーティに出会った。
どこに行くのかなと思って聞くと「北方稜線」
言葉の響きが良かったのか、それからいろいろ調べた。
剱から池の平山に行きそこから赤ハゲ白ハゲ、赤谷山、毛勝三山を経て遠く日本海の方まで…
長大な尾根は、調べれば調べるほどそれは私の中で憧れと夢となって膨れて行った。
しかし…
どんなものか…
それからずいぶん時がたって、クライミングや沢や藪山も行くようになった。
夢を実現させようと、初めに大猫山から入り猫又山、毛勝山と行ってみようと、出かけた。
結果は最初に取りつきを間違え赤谷尾根を登って激藪に悪戦苦闘して、仕切りなおして次の日大猫山から猫又山まで行った。しかしながら、猫又山の草原のテント泊に大満足して終わった。
次に、数年たって同じ9月に再び大猫山から入り毛勝三山ピストンを試みた。
とても暑い9月で、水が足らないのと藪に時間がかかって毛勝山の手前までで引き返した。
3度目は4月末に猫又谷から毛勝谷へ周回。やっと毛勝三山を踏むことができた。
それは、今年のことだった。
ブナクラ谷から剱まで
今回はこのルートを歩く。
赤谷山・白萩山・赤ハゲ・白ハゲ・池の平山・剱へと、歩く。どんな景色に出会えるのか!
9/20
多治見を3時に出発。馬場島の駐車場に7時に着いた。
帰りのこともあるから降りてきた辺りに停める。

林道を40分位歩くと工事中。
以前はなかった景色だ。

2時間位登って戸倉谷で水を補給。できればここの分で3日間過ごしたいと思うとずっしり肩に食い込んできた。
ブナクラ峠が見えてきた。

11時50分 ブナクラ峠
さてこれから未知の世界へ

踏み跡ははっきりしていて藪はあるものの歩きやすい。

藪が濃くてもところどころ赤テープもあって、良く登られている山だと感じる。

大きな岩が右手に見えてくると段差が激しい切り開き。重荷がこたえる

最後は猫又山のような草原

やっと赤谷山。すでに15時。
今日のテンバの予定の白萩山の向こうのコルにいつ着けるやら…

ブナクラ谷で追い越して行った若者2人はもう着いたのかな?
白萩山や赤ハゲ白ハゲ


白萩山は藪だった
この後良く滑る草付きを下って藪と格闘して、下に見えるコルまで下った。

ちょうど草が寝ているところにテントを張る。
追い越した2人連れと単独の人は少し上に張っていた。

夕焼けも満天の星も、この場所で見れたことに大感謝の夜だった。
9/21
今日はさらにハードな一日になる予想
5時まだ暗い
赤ハゲ白ハゲのシルエットが素晴らしい

後立山

少しヘッデンを付けて歩く
明るくなって来た方を見るとテン場としたコルが見えた

毛勝三山

行く方

右手に剱が見えてきた

どこをどう登るのか?
なんとなく踏み跡がある時と全くわからずそれなりに稜線を行くと歩けるときと激藪に悪戦苦闘するときの繰り返しだ。

赤ハゲを越えて、剱・池の平山が見えた

カッパを脱いで歩きだす。基本稜線を。

振り返って、白萩山、赤谷山、毛勝三山

ピークがいくつかあってどちらかを巻くと先に行ける

草付きは気を付けないと思わぬ大滑りになってしまう

激藪から抜けだすと絶景だ

池の平山 どこを登って行くのか?

稜線も藪だが、まだ歩きやすい

白ハゲから草付きを下って行くと岩の下りに来る
他に行けそうなところがないのでこの岩を下ることに。
ロープを出して懸垂した方が良かったかもわからないが、まずはフリーでデイジーが降りて行った。
そして、私。

下ってから離れてカメラに収めた。
けっこうしぶい下りだった。

大窓が見えた

歩きだして5時間半
やっと大窓。

後立山

先行の若者2人が大窓の頭に登って行くのが見えた。
大窓の頭はそこそこ安定したところだった。
ガスが出てきて池の平山を探す

池の平山 険悪な顔



ガスが少し切れて南峰がみえた
さらに険悪だ

行けそうなところを探りながら行くと行き詰った。
目の前にピンが打ってある。新しいのと古いもの。
ちょっと重荷を背負って登るには岩が立っているのでザックを降ろして、ハーネスとヘルメットを付ける。
ザックも落とさないように縛り、自己ビレーも。
デイジーが空身で私のビレーで登って行った。とたんに落石!
私のヘルメットに8センチ大の石があたった。
ヘルメットつけてて良かった…
次にデイジーのザックを上げるのだが、岩が少しハングしているのと上が落石の宝庫なためなかなか難しい。
やっと、何とかあげて、次に私。
あとでザックだけ上げるのは難しいし、もうひとつあげるのも大変だから、担いであがることにした。
デイジーに引っ張ってもらいながら、なんとかクリア。30mザイルで良かった。
その後は藪と草付きの踏み跡を登ると…

池の平山だった。

以前池の平小屋方面から登った山
さて、時間は5時
今日は小窓までの予定なんだが、このままいくと暗くなってしまう。
テントが張れそうなところを探すが、なかなか…
山頂を少し下って登山道に張ることにした。
真ん中だけ平。
でも剱が見える特等席だ。

暗くなって晩御飯を食べていると足音が…
登山者かと思い「すいません。通れますか?」と聞くと、「僕もここでビバークしたいのですが、隣にテント張ってもいいですか?」と。
どこから?来たの…
9/22


朝焼けに染まった毛勝三山と池の平北峰

そして剱

今日も元気に?出発だ。

昨夜隣のテントの若者は、源次郎尾根から剱を下って池の平まで来たそうだ。
今日は阿曽原温泉目指して行くそうで、温泉という響きにふらふらしてしまった。
小窓の雪渓を下に見ながら渋いトラバースをし、滑落しないよう木をつかんだり草をつかんだりしながら、途中から稜線に上がった。
稜線に上がると踏み跡があって、そのまま小窓までの激下りをモンキー下りで降りる。

フイックスロープがあるところはそっと持ったり岩や木を持ったりしてかなり下ると、小窓に着いた。
小窓の雪渓を登ってきた登山者が見えた。

8時やっと小窓に着いた。


小窓からは良く踏まれたところを登って行く。
振り向くと池の平山。あのリッジを下ったんだ。

ずいぶん登った。後立山が遠く見える。

途中で剱から来た単独の方にあった。
雪渓を渡るところがあるよって。一応軽アイゼンを持ってきている。
10分位行くと問題の雪渓。
陽の当たっているところは少し緩いのでいいが、日陰はつるつるだ。
軽アイゼンは出さずに、つるつるはそっと置きながら、ストックでなんとか渡った。

そのまま少しトラバースすると、途中で矢印のある大岩があったのだが、デイジーがトラバースの矢印だろうと言うのでそのまま行くとケルンがあった。
その先はこんなガリー

ここにガリーを登る記録はなかったはずだったので、頭の中は???だったんだけど、他に行けそうなところがない。
ケルンに騙されて?ガリーを登ることになった。
落石も浮石もプチクライミングもありの、ここが池の谷ガリー?と思うほどのガリーだった。
途中で、あの大岩についていた矢印で大岩の上に行くんだったんだ!と思った時は引き返せないので、そのまま登った。
1時間も登ったらコルに着いた。
小窓の王のガリーだった。

やっとコルに着いた。
剱からの登山者とすれ違ったが、「こんなところ良く登ってきたなぁ」という声が聞こえた。(必死だったわ)

小窓の王から、池の谷ガリーが見えた。あんなところ登れんの?

ザレザレの斜面を下って行くところで、三の窓とガリーが見える。

三の窓から少し左の木の中に入り、ガリーに出る。
浮石の斜面を登って行く。

途中で左のすみにいたら、突然真ん中の中くらいの岩が周りの石や岩とともに崩れて流れて行った。
不気味な落石の大きな音とともに。
真ん中にいなくて良かった…
ガリーがやっと終わって池の谷乗越

すぐに岩場が…

岩場をフリーで登って行く。手がかりも足掛かりもあるので難しくはないが、高度感と垂直が怖い。
登ったところは安定した広場。池の谷尾根の頭
八ツ峰がバックに

岩場を下ったり登ったり

長次郎谷右俣

長次郎の頭がそびえたつ。まだまだ先は長いね

岩場を巻いて行くと、残地ロープのあるところに来た。
30mザイルで行けそうなので、新しい方の残地シュリンゲを使ってザイルを垂らした。

もうそこからはとても歩きやすい岩場を登って行く
左俣
2人のクライマーが谷を登ってきた。

安定したガレ場を登って剱へ

もう少しで山頂

やっと、山頂
すでに15時25分
朝から10時間行動だ

今日は早月のテンバまでの予定に変更した。
途中で2人のクライマーに追い越された時、「今日はどちらまで?」「早月小屋まで明るいうちに行けたらもう降りようかなと思って…」
そこ言葉に、デイジーも思っていたを言葉に。
「おれらーも降りようか?」
2300メートルの下りをすでに10時間歩いていて行くの?
でも、降りないとビールも温泉もないね…

雲海が綺麗とか、剱尾根が夕日に赤いとか、言ってるうちはまだ良かった。

富山湾と街の夜景をずいぶん見て

真夜中に馬場島の車に戻った。
なんと、18時間位の行動
後30分位のところで、下から来た登山者(御来光登山)に会ったら、私達もびっくりしたけどあちらもずいぶんびっくりした見たい。
そりゃそうだよね…
無事で良かった。真っ暗になってからは滑らないように転ばないように余計に時間がかかった。
若者たちが超スピードで通り抜ける北方稜線
私にはそんな芸当はできないけど、なんとか歩きとおせた。
ブナクラから池の平山までは本当に静かでいい山だった。
自分たちで歩くところを決め、歩き、困難なところは工夫(ザイル)して、楽しかった。
岩と草原と藪。
そして満天の星。
剱の山域に入ると人も多くなり静かな山ではなくなったけど、また違った楽しさがあった。
こんな山がやっぱり好きだ。
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