横尾本谷から北穂池、そして涸沢へ
2013-10-14
2013年10月12日(土)~14日(月) 参加者2名穂高の四つの池、奥又白・ひょうたん・天狗・北穂とある。
奥又白池、ひょうたん池は数年前に行った。
どちらもあまり訪れる人のいない静かないいところだった。
なぜかいつも10月のこの時期に訪れた。
奥又白池は前穂北尾根の展望地でものすごくガレた斜面に圧倒された。
ひょうたん池は本当にひっそりと、紅葉も最高で、池にサンショウウオがいたことにびっくりした。
今回は、少しルートがわからない北穂池。
この紅葉のまっただ中、涸沢にはすごい人が訪れる時期にどれだけのパーティが訪れるのだろう…
北穂高が逆さに映る池が見たくて、しかもそこにテント泊がしたくて、行くことにした。
しかし(T_T)
この連休初日は天気があまり良くない。
しかも金曜日までバタバタと忙しくて用意ができない…
いろいろ考えて、初日は横尾までとした。
なので今回は東稜を詰めて北穂高で一泊という案もやめ、東稜のコルから涸沢に降りることにした。
10/12 自宅6:10 = 9:15沢渡大橋 … 上高地10:00 ~ 横尾13:00
10/13 横尾6:10 ~ 7:10本谷橋7:30 ~ 涸沢と本谷出合8:20 ~ 二俣9:35 ~ 北穂大滝11:30 ~
2550辺り ~ 引き返し ~ 2450辺りのトラバース ~ 北穂池めぐり ~ 15:00テント設営
10/14 北穂池三の池6:40 ~ ガレの沢下8:30 ~ ガレ沢の上9:50 ~ 東稜コルのさらに上10:30 ~
コルの下11:30 ~ 12:40涸沢13:00 ~ 5:20明神5:40 ~ 上高地6:20
10/12
上高地は観光客でいっぱいだ。
周りは紅葉がもう一歩といったところ

天気もあまりよくなくて、明神も穂高も雲の中だ。
明神でうどんをチョイス

明神を過ぎたころから雨が落ちてきた。
カッパを着て歩く。

子供が3人、それもみんな小さい。一番大きい子で6歳くらい?
そして、ベビーカー。しかも双子用。
さらに、ものすごく大きなザックをご両親とも担いでいる。
お母さんの手には子供の小さな手。
お父さんの手にはベビーカー。周りで子供同士で手をつなぐ二人。
徳沢への道でであった家族だ。
どこまで行くのだろう。なんてすごいパワーの二人だ。感心して子供たちを応援してしまう。
横尾に着いた。いつもは通り過ぎるところだが、ここでテントを張るとなると水もありトイレもあり、穂高への中継地点としての役割は大きいことに気付いた。

早く着いたので、まずは乾杯。
まったりついでに早めの夕食。今日は焼き肉だ。(こんな贅沢はめったにない)

雨が降ったりやんだり…
夜中には結構たくさん降って、明日のザックの重さが思いやられる…
10/13
今回夏用のシュラフを持ってきた。いつまで夏用でいいか?なんて。
ここは1650くらい。今回はぜんぜん大丈夫だった。
しかし、テントのクリップなんかは雨が凍ってお湯をかけないと取れなかった。
本谷橋からの北穂

本谷橋から横尾本谷に入る。
しばらく行くと涸沢(ほんとに涸れ沢だ)との分岐。



前穂北尾根が見えてきた

本谷へ入りしばらく行くと右俣との分岐になる。
靴を濡らさなくていい場所をさがして渡渉。それまで前後していたパーティは右俣は行った。


左俣へ入ると大きな岩とザレ、右岸は切り立った崖になる。
風が吹くとあちこちから石の落ちてくる音がする。
安全かなと思う場所で休憩していたら、6人パーティが登ってきた。
5人は若いので「学生さん?」と聞くと信州大学だそうだ。荷が軽そうなのでどこまでと聞くと、キレットに登り北穂から奥穂の小屋までと言う。健脚だね!
2300辺りで雪渓が谷をふさいでいる。下がトンネルになっていて大丈夫そうなのでくぐって行くが、あんまり気持ちのいいものではないなぁ

雪渓をくぐると北穂大滝が出迎える。
一部が凍っていて水はあまり多くはないが圧巻だ。

過ぎて振り向くと落ち口から100mはあると思う。

北穂池のカールから水が落ちているのだから振り向くと池の台地が見えてきた。



池は見えないけど雪田が見える。
デイジーは2500まで登って大きく巻いて池に降りて行こうと言う。藪を避ける作戦だ。

しかし、かなり大きく登らないと藪はなくならないし、登りすぎれば岸壁がまっている。
途中に切れた沢があったりして、しばらく藪こぎをしたが、まだまだ藪は続きそうなので、少し登って藪を避けて左俣を下った。
大滝から少し上の小さな沢から登ってみることにした。
沢は昨日の雨がここは雪だったようで、雪と氷がありしかも浮石だらけなので、沢の右の草付きをトラバース気味に登った。手も足も不安定で、高度な沢の高巻きのようだった。
それが過ぎたらまた藪だ。

でもここも急斜面ながら、藪を作っている大きな木が(冬は雪が多いのでみんな横に伸びている)頼りになるから、枝を跨ぎ枝をザックから上に持ち上げ、かなり必死に藪を漕いだ。

体が宙に浮いてるんじゃないかと思うくらい枝を持ったままトラバースした。
すると、やっとガレ場に…
見下ろすと50mくらい下に雪田と池が!

後から思えば、この工程が一番の核心部だった。が…(甘い!)

ガレ場をひたすら降りて雪田の横をすぎ、最初の池に。


そして、また少し行くと三の池。


ここには素敵な空き地があり、テンバとして使っているようだ。空き地の向こうは常念岳が見える。端っこは絶壁だろう。
踏み跡があったので行ってみるが結構な藪になってきたので引き返し三の池の手前から二の池に行く。
二の池は半分くらい水がなくなっていて少しさびしい。ここから東稜が見えた。

三の池に戻ってテントを設営。
風が強くなってきたので飛ばされそうだ。大急ぎで荷物を中に入れ飛ばされないようにしっかり固定しておいた。


もう3時半。とりあえず焼酎で乾杯。
蝶が岳や常念岳、南岳、北穂高に囲まれた絶景に、我々二人。なんという贅沢!!!
北穂高の小屋の灯り
そのほかは星・星・星…
10/14
昨日の風は夜中に収まった。

夏用のシュラフは思いの他温かく、快適だった。
乾いているのでテントの回収も簡単だ。




常念から朝陽が昇るかと思っていたら、蝶から昇ってきた。
さざ波もないので、池には北穂が映りきれいだ。
あまりに周りの景色が綺麗なので、この場を立ち去り難く、少し長居をしてしまった。
一の池辺りから東稜のコルを目指す。
(山行中この池が一の池と思っていたが、帰ってGPSで確認するとさらに東に一の池があった。その勘違いが苦行の始まりだった。)

しばらくはガレ場を登っていくが途中から藪を避けて沢沿いを行く。


下からみると沢の抜けたところがコルのように思い、沢を登って行ったが、次第に凍ったところや浮石があったり登れない岩があったりとなって、高巻きをしたり藪を漕いだり岩をクライミングしたりと、すごくハードだった。
一度はデイジーにお助けを出してもらったが、ここで落ちたら死ぬなぁと本気で思った。

デイジーが「落ちたら俺手離すから」と言う!(ああそうですか!私もおおっきい保険かけよかな)
藪の木はまたしてもいい相棒となってくれたが、時々いないので、しかたなくその辺のかわいい草や苔の塊を相棒にしなくてはいけなくなる。それはとっても信頼に欠けるのだけど、しかたがない。
何度も死ぬかなぁ(?)と思ってやっと沢を抜けた。

そこはまだ100mほど東稜から下だった。
振り向くと槍が見える。


東稜からはクライマーの声がすると思っていたが、なんの声もしない。(こんなことがあるの?!誰も東稜にいない)
ガレ場をひたすら登り、ここがコルと思うところから岩を登った。

コルに着いた!!!


と、思ったが、実際はコルから一つ上の鞍部だった。ここからは降りれない。
岩は登るものだ。
クライミングよろしく、クライムダウンする。
またしても危険なトラバース。しかもどこを下ったらコルに行けるか試行錯誤。
トラバースして這松を相棒に下って、さらに岩を降りた。
やっとコル。
そこからもガラガラとなった斜面をひたすら北穂の縦走路まで下った。


這松の向こうが縦走路だ。
なんと歩きやすい。しかも人がいっぱい。
涸沢に着いたらビールね

と、デイジーが言う。(5時が最終バスなんだけどなぁ…)
ま、6時半位までタクシーがあるから…なんとかなるか~

涸沢に12時40分
ビールとおでんで乾杯した。
乗り込んだコルと本当の東稜のコル、トラバースし、ダウンした岩場。よく見えるなぁ…
こっちからならもう少しわかりやすいかも。
今日の核心部は、今回の山行の核心部だった。生きててよかった。
帰りはどっちから行く?
パノラマ?本谷?
1時になって、焦ったってどっちにしてもタクシーだよ。
でもパノラマコースのほうが近いからそっちから行こか!となったけど…

登ったり下ったり…核心部を超えた身体にはこたえます…
屏風の頭への分岐。以前ここを歩いた時、耳まで行って帰ってきたら猿の家族が私たちのデポしたザックを狙っていたのにびっくりだった。
今日は寄り道できません。ひたすらここから下る。

新村橋に着いたのは4時半。

疲れた身体に鞭打って、明神目指します。
途中で徳沢のキャンプ地であの双子用のベビーカーとテントを発見!
あのかわいい家族はここに三泊していたのね。
あのおっきなザックには、おむつもミルクも着替えもテントもお鍋も入っていたんだね。
改めて感心しました。
デイジーは私の1.2倍のコンパスで、どんどん先へ。タクシーの予約をしに行きます。
明神でタクシーの予約の電話をしてたら、2人連れが相乗りを提案。願ったりです。
上高地まではすでに真っ暗になり、途中で猿に出会ったり…
予約より早く着いたのでほっとしました。
帰りのバス券も買っていたので無駄になっていまいました。
皆さんも往復は買わないほうがいいかも。でも、もし買ってしまって乗らなかったら、島々の駅か平湯のバス会社で払い戻ししてくれるそうです。でも…寄って行くのは厳しいですよね…
女性のドライバーでとても感じよかったです。
相乗りしてくださった名古屋のお二人ありがとう。
そんなこんなで、憧れだった北穂池に行ってこれました。
北穂池は想像以上に素敵なところだった。
雄大で静かで…
でも、行くにも帰るにも困難。
それが楽しかったと思えるにはクライミングやルーハイや体力を養わないとだめかも。
それとお助けか補助ザイル、頼もしいですよね

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